『方向転換』とは?

方向転換とは・・・

  • 体の進行方向が変わること
  • 体の向きが変わること

 実際のスポーツ場面では ” 転換動作 ” に方向転換時の”ステップの種類”を必要に応じて組み合わせています。

アスリートのリハビリテーションとリコディショニング.
アスリートのリハビリテーションとリコディショニング.

フォワードランから90°右へ曲がり、次に左へ90°曲がるといった動作を例に挙げます。
ステップを使い分けることで、体を転換せずに相手に正対したまま動くことや、進行方向に体を向けて走行することもできます。

アスリートのリハビリテーションとリコディショニング.

慣性による体に加わる力が大きくなる条件

  • 走行速度や回転の角速度が大きい
  • 方向転換の角度変化が大きい
  • 進行方向の転換においては回転半径が小さい

慣性とは….
物体は静止していればその状態を維持しようとし、逆に動いていればその状態を維持しようとします。
それによって必要な筋力は増加し、関節構成体に加わる力も大きくなります。

同じ走行軌跡であっても、足のつき方で方向転換の種類と関節に加わる負担は異なってきます。

代表的なもの…
•カッティング動作
接地足の回旋動作がなく足部の向きと蹴り出しの向きで方向転換をする
•ピボット動作
足部での回旋動作を伴って方向転換動作を行う

【 方向転換時のステップの種類 】

サイドステップ
 横方向へのステップの際に、両足がクロスしないでサイドに移動するステップです。
基本的に進行方向に対して体の向きが90°の角度を保ちます。
ボールゲームの、特にディフェンス動作では、相手のフォワードの正面にいる事が可能になります。
また相手選手が横方向に180°進行方向を変更した場合でも、体の向きを変えずに対応することができます。
デメリットとしては、移動速度を大きくしようとすると、ステップの幅が大きくなり両足が接地しない滞空時間が長くなり反応が遅くなることです。
反応を速くするためにはステップの幅を小さくするので、移動時間がかかってしまいます。

①シザーステップ
ハサミ ” のように両脚を大きく閉じたり開いたりするステップです。
横移動は短いですが、滞空時間が長いために反応が遅くなってしまいます。
間合いによっては、ジャンプを伴うことや、すり足的なステップを使い分ける事があります。

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②タッピングステップ
小さく両脚を閉じたり開いたりするステップです。
滞空時間が最小限なので、反応は速くなりますが移動速度は長くなります。
間合いの狭い、クローズフィールドで使う事が多いです。

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クロスオーバーステップ
 横方向へ進行方向を転換する際に、両脚をクロスさせるステップです。
ディフェンス動作で用いる場合、下肢は回旋を伴い進行方向を向き、体は相手選手に向くことが可能です。


クロスステップには2種類あります。
ターンの際に外側の足で踏み返して方向を変えるオープンスタンスからのクロスステップ。
内側の足で踏み返して方向を変えるクローズスタンスでのクロスステップ。

 ステップの後すぐに歩幅の大きなダッシュに移行できるので、移動速度は非常に速いです。
また、相手の速度が速い縦方向の進行に対しても反応しやすくなります。
方向転換の時には、下半身を回旋させる動き(モーメント)が必要になります。
短時間に何度も体の方向を転換させなければならない様なディフェンス動作時には不向きです。
 また、方向転換の角度や方向によっては接地足部に回旋力が加わることがあり、骨の配列の崩れ(マルアライメント)が生じやすいです。
片足支持からの切り返しとなり、大きな筋力が必要になります。

アスリートのリハビリテーションとリコディショニング.
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ピボットターン
 片脚を軸足として接地したままに(pivot foot)非接地足(free foot)を移動して身体方向を転換させるターンです。
ストップ&ターンなど低速度からの方向転換や、静止している時相手選手にボールを取られないように相手を背にして身体方向を変化させる場合に用います。
回転する方向によって
フロントターンバックターン(リバースターン)を組み合わせて使い分けます。

アスリートのリハビリテーションとリコディショニング.

【 好ましい方向転換動作 】

  1. 異常な関節へのメカニカルストレスが少ない
  2. すぐ次の動作に転換できるニュートラルなポジションをとれている
  3. 力強く・素早い方向転換

1…
股関節の可動性とバランスが重要です。
股関節の可動性が広がれば、膝関節などの下肢の関節に加わる回旋モーメントを最小限にすることができ、外傷のリスクも少なく効果的な推進力を得ることができます。

2…
全身のマルアライメント(配列異常)が生じると身体回旋のモーメントが大きくなり、パワーの伝達も非効率的になってしまいます。
また、全身のマルアライメントは方向転換後の体幹の位置にも影響し、次の動きの遅延にもつながります。

3…
下肢全体での荷重支持能力、特に股関節での推進力を得ることが重要です。

【 方向転換動作時の外傷発生因子 】

  • 方向転換の角度変化
  • 走行スピード
  • 使用するステップワークの種類
  • 床と足の摩擦係数
  • サーフェース(面、平面)の形状
  • 方向転換時の全身アライメント
  • 重心位地

など様々あります。

その中で” 方向転換時の全身マルアライメント (配列異常)”について各面ごとに説明します。

①前額面 / 冠状面 (身体を前後に切る面) のマルアライメント

トレンデレンブルグ肢位とデュシャンヌ肢位が代表的です。
どちらも股関節の外転筋をメインとする臀筋群の機能不全によって発生します。
トレンデレンブルグ肢位は外転筋の機能不全によって、支持脚の股関節周りの回転モーメントを抑えられず遊脚足側に体が傾いてしまう現象です。

立脚側骨盤は初期には内方に移動し、膝は内反のマルアライメントが生じます。
しかし、そのままでは側方に体幹が傾き転倒してしまうので骨盤を外方移動させるようになり、膝が内側に入るようになります。
そうして、外反外旋のマルアライメントが生じます。

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デュシャンヌ肢位は上半身を支持脚に傾け股関節周りの回転モーメントを少なくしようとする代償動作です。
骨盤は外側に移動し大腿骨は内旋し、膝に外反外旋のマルアライメントが生じます。

方向転換は、3つの区分けが存在します。
 減速 → ターン → 加速
減速時およびターンの際には片側に加わる垂直応力が最大になるため、 マルアライメントが発生しやすいです。

 骨盤の外方移動によって発生した膝の外反・外旋動作では、内側側副靭帯や前十字靭帯損傷、外側半月板損傷といった外傷が発生しやすいのも特徴です。
 また骨盤の内方移動によって発生した膝の内反・内旋動作では、外側側副靭帯損傷や内側半月板損傷といった外傷の発生が起こりやすい。

②水平面 (重力の方向と直角をなす角) のマルアライメント
 ターンの際には、体に加わる水平面での回旋モーメントは最大になります。

 これに加えて、一般的に膝の外反・外旋のマルアライメントに伴い骨盤帯は支持脚と逆側に回旋し、後方重心になります。
反対に膝の内反・内旋のマルアライメントに伴い骨盤帯ら支持脚と同側に回旋しやすくなります。
 方向転換時に、回旋モーメントを減少させるために、足部に適切なピボット動作を入れるか、ステップ時の適切な足部の方向づけが重要になります。

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③矢状面 (身体を左右対称に分ける面) の マルアライメント
 矢状面上で後方重心となれば、減速相での大腿四頭筋による膝伸展モーメントが大きくなります。
そのため、膝蓋靭帯炎やオスグッドなどの慢性障害につながりやすく、脛骨の前方偏位も大きくなるために前十字靭帯損傷のリスクも大きくなります。
また後方重心では、膝の半月板損傷などの外傷も発生しやすいです。

【 機能的要因 】

①股関節の可動性
 方向転換時には、通常地面に足が接地した状態で体幹が水平方向に回旋することを強制されます。
 すなわち、足部、足関節、膝関節、股関節、腰椎などの関節の動きでこの動きを作り出します。
 特に膝関節は地面と股関節の中間にあり、モーメントアームも長いために股関節の可動域の狭小化の影響を非常に受けやすいです。
股関節の可動域の制限は、ターンの際の膝の回旋モーメントを増大させやすくします。

②股関節周囲筋機能
 股関節周囲筋肉の機能不全によりマルアライメントが生じます。

・外転筋の機能低下
前額面上のマルアライメントを生じます。

・外旋筋の機能低下
大腿骨の内旋、すなわち膝における外旋を引き起こします。

・内転・内旋筋の機能不全
骨盤帯の後退を引き起こすだけでなく、重心の後方化と移動スピードの低下の原因になります。

・伸展筋群の機能低下
減速時の衝撃吸収低下を引き起こし、膝アライメントの原因になります。また、重心の前方移動スピードの低下にも繋がります。

・腸腰筋や下部体幹筋の機能低下
腹圧低下による体幹部のブレ、重心の前方化を制限してしまいます。

股関節の安定化と機能向上のために
 単なる筋量の増加だけでなく、股関節の機能を考えたトレーニングが必要になります。
また、単体でなく体幹機能、荷重支持やバランス機能も考慮した段階的メニューを実施していく事が重要になります。

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